今回は、ジュエリーデザイナーとして、様々なイベントやテレビなどでも広く御活躍されている加山忠則さんに御登場いただきます。プリザーブドフラワーのデザインなのにジュエリーデザイナーさん?とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんね。
フロールエバーが初めて加山さんとお会いしたのは、2010年8月に日本橋髙島屋で開催された『きらめくビーズの世界展』。フロールエバーはプリザーブドフラワーでイベントに御協力していて、加山さんは作品の展示とトークショーに出演されていました。そのときに初めて御挨拶させていただいて、以前からプリザーブドフラワーに興味を持っていらしたというお話を伺い盛り上がってしまいました!
2010年1月末、フロールエバーよりアクセサリーパーツとしても使うことができる『フロールエバー ビジュー』が発売されます。フロールエバーカタログ等でご覧いただいた方も多いのでは?そちらのページを素敵に彩っているのが加山さんに制作していただいたジュエリーです。
加山さんには、いつもの天然石アクセサリーの中に『フロールエバービジュー』を取り入れてデザインしていただきました。
今回は、東京四谷の加山さんのアトリエにお邪魔してお話を伺いました。
【Q】先ずはじめに、このページをご覧いただいている方は圧倒的にお花関連の方が多いですので、加山さんの経歴について簡単に教えていただけますか?
【A】声楽を学ぶ為ニューヨークに留学していたんですが、在学中に天然石のバイヤーのお手伝いのようなことをしていて、そこで天然石の魅力に魅せられました。
道具も資材もほとんどない中で、見様見真似でネックレスを作ってみたのがジュエリーデザイナーとしてのスタートです。そのときの作品は今でも手元に飾っていますよ。初心を忘れないようにね。
その後もジュエリーデザイナー一本で生活をしていたわけではなくて、高校の音楽教師をしていた時期もあったし、バーで弾き語りをしたこともありました。26歳の時、道玄坂でダイニングバーをオープンしましたが、それらの間もオーダーや舞台衣装としてジュエリーをデザインしていました。
その後、ビーズ会社とデザイナー契約をしたことを期に、30歳でダイニングバーをクローズして、ジュエリーデザイナーとして本格的に活動をスタートしました。
2010年1月に新宿伊勢丹のビーズイベントに参加したのをきっかけに、2010年は様々なデパートでのイベントやテレビ出演などめまぐるしい1年でした。
音楽留学先で天然石と運命的な出会いをされたんですか!!「ビーズの世界展」では、美しい歌声も披露されて、加山さんの多彩な才能に皆さん驚いていらっしゃいましたね。天然石の作品に負けないくらい本当に素敵でした!
【Q】『きらめくビーズの世界展』に展示されていた作品はモーツアルトの楽曲を聴いてイメージした作品ということで、作品とその展示の仕方もとても素敵でした。レースや羽をふんだんに使ったとてもロマンチックな作品でした。こちらの作品をご紹介いただけますか?
【A】自分はずっと音楽にかかわっていたということもあり、今回のイベントではモーツアルトについては他の人よりも知っているだろうということは意識して作品を作りました。
モーツアルトの父親はとても厳しい人で、モーツアルトのマネージャーのようなことをしていました。
モーツアルトにとって父親の死はある意味とても大きな影響を与えたんです。実は父親の死のすぐ後に作られた楽曲はそのほとんどが明るい曲調のもの!
この作品はその父親が亡くなった年の「1787」をタイトルにしたんですが、モーツアルトの、父親からの解放をイメージして作りました。羽を使ったり。
またモーツアルトの楽曲は当時としてはとても斬新でアバンギャルドなものだったので、今回の作品でも、色々な技法や素材(羽・リボン・刺繍・ワイヤーなど)を使って斬新さを出した作品に仕上げました。
【Q】さて、『きらめくビーズの世界展』をはじめとして、全国各地の有名デパートでのイベントやテレビ出演など多忙を極める加山さんですが、ジュエリーデザイナーとしての最近の活動について教えていただけますか?
【A】2010年は百貨店でのイベント10箇所に参加しました。2011年も1月26日から新宿伊勢丹で開催されるビーズイベント『2011春のビーズコレクション』*に出展します。
会期中はジュエリー、アクセサリーキットの販売とワークショップを行うのでぜひ遊びに来てください。(下写真の作品も出展)
あと2011年には個人のイベントも予定しています。
テレビのお仕事で、先日は「はなまるマーケット」に出演させてもらいました。2011年2月2日放送予定のNHK「すてきにハンドメイド」*に出演するので、皆さんぜひご覧下さい。
その他では、トークショーや、青山のセレクトショップで作品の販売、オーダーメイドジュエリーや舞台のコスチュームジュエリーの制作、お教室などをしています。
ウェディング用のジュエリーのオーダーを受けることもあって、ドレス選びからアドバイスすることもあります(笑)。 そこまでではなくても、ドレスの形やヘアースタイルなどをうかがって、その人をイメージして作るのが最高に楽しいです。
基本的に人が好きだから、そういう作業やレッスンでのやり取りや完成した後のフィッティングで生徒さんが見せる笑顔を見るのが楽しいですね。
今年の8月7日から10月11日にかけて世田谷美術館で開催されていた「ザ・コレクション・ヴィンタートゥール」展では、出展作品をイメージしたオリジナルの携帯ストラップを制作・販売しました。ずっと美術館とのお仕事がしたいと願っていたので「思いが通じた!!」って思いましたね。
何でも強く願えば実現するんです。
あと、3月3日から渋谷のBunkamuraで開催される「フェルメール展」*でも、ミュージアムショップで作品が販売されます。ワークショップも開催する予定です。
ワークショップで作るジュエリーには、フェルメールが絵を描いていた時代に作られたビンテージパーツも組み込む予定です。美術館で見た絵と同じ時代に作られたパーツを身につけられるっていうのが素敵でしょ。
【Q】 ではこの辺で、プリザーブドフラワーのお話しもうかがって行きたいと思います。
『きらめくビーズの世界展』のトークショーでも、以前からプリザーブドフラワーは御存知だったとうかがいました。どのようなきっかけでプリザーブドフラワーをお知りになったのですか?
【A】母が書家であり華道家だったんです。子供のころからお花に触れ合う機会も多くてお花が元々好きでした。
プリザーブドフラワーとの出会いは、友人からプレゼントでいただいたこと。ニコライ・バーグマンさんの、カクテルグラスに黒いバラをあしらったアレンジでした。
それを見て直感的に自分でも作ってみたい!!と思いましたね。それからどこでプリザーブドフラワーを買えるのかずっと探していました。
ある時、仕事で立ち寄った資材屋さんでプリザーブドフラワーを発見!!
使い方やアレンジの知識は全くなかったですが、必要になりそうな資材とお花をたっぷり買いこんで、試行錯誤しながら色々アレンジしました。友人にもよくプレゼントしましたよ。
もともと、マニュアルを見ないで自分で使い方を探し出すのが好きですね。て言うか、あえてそうしているのかも。
最初はフォームにお花をグルーで直接つけたりしていたんだけれど、次にお花が垂れ下がるようなアレンジもしてみたくなって。そうなるとどうすればいいか・・・と考えて自然とワイヤーが必要になったんです。
そんな感じでプリザーブドの使い方にも慣れてきたころ、答え合わせのつもりでプリザーブドの本を見てみたんだけれど、ワイヤーの使い方も(ピアスやフックメソッドなど)間違っていなかった!!
子供のころからお花が身近にある生活をされていたんですね。あえてマニュアルを見ないからこそ色々なデザインが生まれてくるんですね。
【Q】さて、話は変わりますが、今回お使いいただいた『フロールエバービジュー』についてお話をうかがいたいと思います。
使ってみた感想や、使いやすい点、扱いにくい点、アクセサリーパーツとして使う際に気をつけたことなど教えて下さい。
【A】テカリや分厚さがなくて硬すぎない、マット感のある質感もとてもいいですね。
あと、何と言っても硬さがいい!!台座に取り付けたりワイヤーを通したり、二次加工するのに本当にちょうどいい硬さです。
一つ注文をつけるのであれば、花びらの付け根の部分、もう少し平らに加工されていると台座に取り付けやすくなりますね。
フロールエバービジューを使ったアクセサリー リング、ネックレス、ヘッドアクセサリーを制作していただきました。
フロールエバーとしてもこだわった「質感」、お褒め頂いてとてもうれしいです!!花びらの付け根部分の設えについては改良していく必要がありますね。ありがとうございました。
【Q】では、まだビジューを扱ったことのない皆さんに対して、アドバイスをいただけますか?
【A】花自体に穴を開けてワイヤーを通そうとする時、(フラワーアレンジのピアスメソッドのように)目打ちではなく太い針(ぬいぐるみ用の針のような)を使うといいと思います。
目打ちだと、手元に近い部分がどうしても穴が大きくなってしまう。
ピンを通した時ヘッドが抜けてしまわないよう、スパンコールなどで補強してもいいんですが、なるべく花へのダメージを少なくするように、と考えると穴は小さい方がいいと思います。
あと、カタログ用の作品の中で、花が揺れるタイプのリングで使用したテクニックなんですが、コレはフックメソッドを使っています。ビジューの上側からワイヤーを通すことで、このような揺れるデザインもできますよ。
右写真:フックメソッドを使ってビジューを固定。
2輪のバラが指先で揺れるデザイン。
左写真:リングをつけたときに見える横顔も重要。
花の足元にクリスタルを貼り付けて。
【Q】ではこの辺で、ちょっとプライベートなお話しもうかがってみようと思います。今お花以外で、興味のある事などありましたら教えて下さい。
また、お休みの日などはどのようにして過ごされていらっしゃいますか?
【A】趣味は本当にたーくさんあります。料理、陶芸、吹きガラス、クラッシックバレエなど。
そういう趣味の時間からもジュエリー制作のインスピレーションをもらっています。
実は料理とジュエリーは全く一緒なんです!素材の使い方をどうするか、色の組み合わせをどうしようかと考えるのはどちらも共通しているでしょ! 冷蔵庫の中をのぞいて、コレとコレを組み合わせてアレができるかな・・・って考えたり。
だから、ビーズのアクセサリーなんかに女性がはまってしまうのは良くわかる話しなんです。
お料理とジュエリーが同じ発想というのは驚きです。でも、確かに(納得)・・・。お仕事もお忙しいのに本当にたくさんの趣味をお持ちなんですね!
夜中までずっと作品作りをしている時もあれば、全く仕事はしないで趣味に時間を使うこともあります。オンとオフの切り換えははっきりしていますね。
あと美術館めぐりも大好きです。お気に入りは六本木の新国立美術館と目黒にある庭園美術館です。
【Q】11月にはフランスに行かれていたとブログに書かれているのを拝見しました。
フランスはいかがでしたか?素敵なものとの出会いはありましたか?
【A】今回は3泊5日の強行スケジュールで、向こうではプライベートな時間はほとんどありませんでした。
ビンテージのレースやアクセサリーパーツ、天然石、タッセルなどを仕入れてきました。
そんな中でも毎回立ち寄るのはお気に入りの、「サンジェルマン・デ・プレ教会」とパリのデパート。この教会では落ち着いて心の整理をします。デパートでは向こうのトレンドを。
【Q】最後に、これから取り組んでみたいと思っていることを教えて下さい。(お仕事でも、プライベートでも!)
【A】自分で作れるものは全部作ってみたい!!
とにかく『美』に興味があります。それ自体が美しいだけでなく、それを持ったり使うことによってその人が美しくなる、それがとても素敵だと思うし楽しいです。
特にラインを決めずになんでもトライしてみたいと思っています。どんなに新しいことにチャレンジするにしても、必ず軸にあるのはやっぱり天然石ですけどね。
それでは、本日はお忙しいところありがとうございました。本当に色々なお話をうかがえて楽しかったです。加山さんの更なる御活躍を楽しみにしています!